教育大附属札幌小中ふじのめ学級 研究紀要⑧ 活動の中で英語に親しみ 中学校外国語 生活でどう生かすか
(札幌市 2021-01-12付)

中学校実践例4 外国語科(菅原祐司教諭)身近な言葉を表現しよう

【題材について】

 外国語科の授業では、体験活動を中心に英語に親しむ機会を多く設けている。しかし、生徒の中には、アルファベットを書ける生徒もいれば、発音するだけで書くことにつながらない生徒もおり、学習した内容を定着させ、文字で書いたり、発音して表現したりするには、時間がかかる生徒も多い。体験活動を通して、外国語に親しみながらも身近な英語が読めたり、知っている言葉で少しでも表現できたりすることは今後重要であると考える。

 そこで、本題材では、学んだ内容を含んだ体験活動をすることで、楽しみながら英語に親しむことができるような展開を意識しながらも、生徒の知識レベルに合わせた書き取りを行うこととした。そうした積み重ねによって、読めたり表現したりできる語句を少しでも増やして、将来に役立てたい。

【題材の目標】

▼英語の音声を聞き、まねて声を出したり、話したりしようとすることができる

▼体験活動等を通して学習した内容を中心に、書いたり読んだりすることができる

▼基本的な表現や語句が表す内容を知り、それらを使うことで相手に伝えることができる

▼英語を通して、他者とコミュニケーションを図り、英語の音声や表現に慣れ親しむことができる

【指導計画3時間扱い(本時7/13)】

▼主な学習活動

▽色を表す語句

 赤や青など普段使う色の語句を知り、英語で表現する。

▽形を表す語句

 丸や星など普段目にする形の語句を知り、英語で表現する。

▽体の部位を表す語句

 鼻や口など自分の体の語句を知り、英語で表現する。

▽方向を表す語句

 上や左など方向を表す語句を知り、英語で表現する。

▽食べ物を表す語句

 りんごなどの果物やパンなどの食べ物を表す語句を知り、英語で表現する。

▽月や日、順番を表す語句

 1月や2日などの月日の表現や、1番目などの順番を表す語句を知り、英語で表現する。

【本時の目標】

▼福笑いの活動を通して、方向や指示に関する語句を読んだり書いたりすることができる

▼left、right、down、up、stopの意味を理解し、相手に伝えることができる

【本時の展開】

▼学習内容

▽今の気分を英語で表現する

▽本時の流れを確認する

▽「今日のことば(方向)」を知る

 left、right、down、up、stopについて発音しながら確認する。

 左、右、下、上、止まるという意味も確認する。

▽「今日のことば」を書き取る

 ワークシートに「今日のことば」を書き取る。

▽顔のパーツ(目・鼻・口)を確認する

▽「今日のことば」を使ったゲーム(福笑い)をする

①チームに分かれる

②ルールを確認する(片方が目隠しをして顔のパーツを動かす。もう片方が「今日のことば」を使って場所の指示をする)

③福笑いを行う(制限時間一つのパーツ30秒)

④時間で終了し、アイマスクを外して確認する

▽「今日のことば」を書き取る

▽まとめ

▼教師のかかわり

▽英語で気分を聞く

▽本時の流れを提示する

 本時の活動の流れをパワーポイントで視覚的に示す。

▽繰り返し発音し、発音を促す

▽ワークシートを配布し、記入させながら机間指導をする

▽前時の確認をする

 体のパーツの学習を振り返って、つぎの活動でどのパーツを動かすのか分かるようにする。

▽ルールを説明し、ゲームの進行をする

 ゲームを通して楽しく学んだり、英語に親しんだりできるようにする。

▽机間指導で定着を図る

 再度文字として書いたり発音したりすることで定着を図る。

▼支援

▽レベルに応じたワークシートの提示

 英語で書くことが目的の生徒と英語で話すことが目的の生徒でワークシートを分ける。

▽視覚的な支援

 ゲーム中に手元を見なくても確認できるように画像を常にテレビに映して確認できるようにする。

 方向の指示が出た際に立ち位置を変えてしまうのを防ぐために、立ち位置を示す足形を床に設置する。

【考察と今後に向けて】

▼授業の成果と課題

 本題材においては、英語に親しみながら、学習した内容を定着させることでいかに身近に英語を感じられるようにするかを求めた授業であった。その中で、福笑いのように、生徒が活動の中で自然に英語に親しむ場面がみられたことは成果だった。一方で、覚えた単語をどのように生活に生かしていけるかなどを求めていくことが課題である。

 研究の視点から振り返ってワークシートを複数準備する過程で、生徒一人ひとりの知識や状態を深く考えたり、必要な支援を考えたりすることができた。

 抽出生徒の支援方法の検討では、障がいの特性のみならず、パーソナリティや身体感覚面など多面的に生徒をとらえる機会ができた。

 今後も、授業の対象となる生徒一人ひとりの多面的な実態把握をもとにした支援方法を引き続き模索していきたい。

(連載終わり)

(札幌市 2021-01-12付)

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