道 第1回子の未来づくり審議会 施策の周知一層工夫を ヤングケアラー支援充実も
(道・道教委 2022-08-09付)

子ども未来審議会
市民の耳に届くよう周知を求める声が上がった

 道は7月22日、オンラインで本年度第1回北海道子どもの未来づくり審議会を開いた。第4期「北の大地☆子ども未来づくり北海道計画」の進捗状況や、今後の児童福祉に関する審議体制について意見を募った。中では、施策が一般住民に知られていなかったり、市町村がよく理解していなかったりする実態から、必要な人や自治体に情報を伝える工夫を求める声が多数上がった。また、ヤングケアラーに関し、全道域での支援や身近な人による支援、家族を含めた支援などを求める声が相次いだ。

 同審議会は「北海道子どもの未来づくりのための少子化対策推進条例」に基づき、社会全体で少子化対策を総合的かつ計画的に推進するために設置した知事の付属機関で、道の少子化対策の推進に関する調査や審議を行うもの。15人の委員のうち12人が参加した。

 はじめに保健福祉部の鈴木一博少子高齢対策監があいさつ。「こども家庭庁の設置法案や児童福祉法改正などを受け、道としても子どもの最善の利益に必要な準備を着実に進めていく」などと述べた。

 続いて、2年度から6年度までを計画期間とする第4期「北の大地☆子ども未来づくり北海道計画」の推進状況を事務局が説明。

 「子どもや子育てをみんなで応援するステージ」では、次世代教育のための出前講座を3年度33校で実施し、高校・大学生向け以外に教員向け講座を開催したことなどを述べ、今後は「北海道ユースプランナー制度によって若い世代の感性や意見を取り入れた事業を検討していく」とした。

 「子育てを支援するステージ」では、待機児童数が4月で22人(前年比46人減)となったことや、認定こども園等の整備が4月現在で557ヵ所(道所管分304ヵ所)となったことなどを述べ、今後は「複雑・困難化する児童虐待事案に対応するため、実践的なカリキュラムに基づく研修等を通じて児童相談所職員の専門性や対応力の向上を図る」などとした。

 「子育てや自立を支援するステージ」では、スクールカウンセラーの配置が2年度の1123校から1141校に増加したことなどを述べ、今後に向け「子どもの意見表明や権利擁護など、児童福祉法改正の状況を鑑み、必要な環境整備を行う」などとした。

 質疑では「ひとり親家庭の自立支援教育給付金受給者が少ないが、こういう制度をどうやって知らせているのか」「市町村は“うちではやっていない”と言うだけで、道がやっていると教えてくれない」など、市民への周知や、市町村に対する周知を求める声が多数上がった。

 また、ヤングケアラーコーディネーターについて、現在は全道で1ヵ所の配置であることから「全道域を1人でカバーするのは無理がある」との声が上がった。

 つぎに、今後の児童福祉に関する審議について説明。こども家庭庁の設置や児童福祉法改正によって、児童相談所の第3者評価や子どもの意見表明権の確保など、子ども政策に関する審議が増えることが想定されること、道では現在、児童福祉に関する審議を北海道社会福祉審議会の児童福祉専門分科会で行っているほか、少子化対策については子ども未来づくり審議会が審議し、また子ども部会を設置し、中高生の意見を反映させていることを説明。

 本年度は、これら組織の在り方を抜本的に検討するため、子ども部会は開催しないことを報告。子ども施策の審議体制について、再編することが望ましいか、現行どおりか意見を募った。

 委員からは「道の組織も大事だが、市町村の組織は従来のまま。各市町村に内容を伝えていくべき」「権利擁護については専門の部会をつくり、独立性を保つことが大切」といった意見が寄せられた。

 このあと、本年度スタートした道ケアラー支援条例や道ユースプランナー制度、本年度の「ほっかいどう未来輝く子育て大賞」のスケジュールを報告した。

 委員からはケアラー支援について「相談窓口や機関があっても、家の事情はなかなか言いづらい」「相談に来てもらうのではなく、そこに行き近くの人が手助けするのが理想」「小さい子にとっては家族の介護をすることは日常のことで、相談していいことだと知らない。そんな子がセンターに相談に行くのはとてもハードルが高いこと。学校での先生の関わりも大切」「ケアを要する子どもがいるということは、ケアを要する大人へのケアが不十分ということ。子への支援は大切だが、家族への支援を考えないといけない」などの意見が出された。

(道・道教委 2022-08-09付)

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