全国小社研北海道大会公開授業⑤八軒西小 地域と自分の結び付き理解 ニセコ町の多文化共生の取組から(札幌市 2022-12-08付)
第4学年授業研究会A(1)
八軒西小学校4年2組(山本貴大教諭)
北海道の特色ある地域と人々のくらし~国際交流に取り組むまち・ニセコ町
◆第4学年で目指す子どもの姿
▼地域を愛し、地域との「つながり」を感じることができる子
第4学年部会が目指す「世界を切り拓く北国の子」とは「地域を愛し、地域との“つながり”を感じることができる子」である。
「つながり」とは、地域と自分との結び付きを理解したり、地域を支え、発展させようとする人々の営みに憧れを抱いたりする姿である。
本単元では、今や国際交流を超え日本人と外国人が共生するニセコ町のまちづくりを学ぶ。
ニセコ町には、国際化が進むきっかけをつくった人、国際化の推進に取り組む国際交流員、人と人をつなぎ新しいコミュニティが生まれる場を提供しているラジオニセコ局長などの人物がいる。
こうした国際交流が生まれた歴史的背景、日本人と外国人という国籍や文化の垣根を越えて、多文化共生のまちづくりのために尽力している人々の営みは、まさにグローバル化する社会を生き抜いていく子どもたちの憧れの存在になるに違いない。こうした「多文化共生のまち」という目的を共有した人々の「つながり」をつくる営み、特色あるまちづくりを学ぶことで、多様性や違いを認め合い、自分とは異なる価値観を持つ他者を尊重し、共生社会への憧れを抱く子どもたちを育んでいけると考える。
◆本単元の目標
ニセコ町の多文化共生のまちづくりについて、自然環境、それを生かした農業や観光産業、共生するための人々の協力関係に着目して、地図帳や副読本などの資料を活用して調べたり、調べたことをまとめたりして、ニセコ町の特色を捉え、表現することを通して、ニセコ町では、自然環境を生かし、国籍関係なく日本人・外国人住民が協力して共生するためのまちづくりに努めていることを理解する。
また、国際交流を超えて共生のまちづくりをしている地域が北海道にあるという北海道への誇りと愛情を持ち、共生社会への憧れを抱く態度を養う。
◆本時のねらい
ラジオニセコ局長・宮川博之さんがラジオニセコで絵本の読み聞かせの放送を始めた意図を考えることを通して、国際交流員と多くの町民の共生への思いをつなげる宮川さんの営みが、共生のまちづくりを続け未来へつなげていくきっかけとなっていることに気付き、適切に表現する。
◆本時の展開
【子どもの主な活動】
〈問いを生む場〉
▽宮川さん「ラジオニセコで2021年2月から「○○○」の放送を始めます!」
▽「ラジオニセコはまちの魅力や情報を発信する番組だから…」
▼課題「ラジオニセコは、まちの魅力や情報を発信する番組なのに)宮川さんは、どうしてラジオニセコで絵本の読み聞かせをする放送を始めたの?」
〈考えをつなぐ場〉
▽国際交流員
・子どもに多くの絵本や言語の違いを知ってもらいたい
・コロナ禍でも共生のまちをつくっていきたい
・より多くの町民に届けたい
▽多くの町民
・会場に参加できなかった人もラジオなら参加できる
・絵本ワールドの楽しさを思い出せる
・外国人も日本人もまちづくりに参加できる
・子どもの楽しみ
▼まとめ「コロナ禍でも、国際交流員さんや多くの町民たちの共生のまちづくりや共生のまちへの誇りをつなげていきたいからだね」
〈吟味・検証・再考する場〉
▽宮川さん「絵本の読み聞かせ日本語は国際交流員、外国語は…ニセコの高校生が担当しています!」
▽「担当が反対?ニセコの高校生が担当しているのは外国語?」
▽反対ではない
・高校生のうちから共生のまちづくりに参加できる
・まちづくりに参加できて羨ましい
▽反対だと意味がない
・学んだ英語を生かせる場になる
・一生懸命練習するから外国の文化も学べる
▼まとめ「共生のまちづくりには、大人だけでなくニセコ高校生や子どもも参加できるんだ。共生社会に参加する姿って素敵だね」
【教師の具体的な手だて】
〈問いを生む場〉
▽ラジオニセコで2021年2月からどんな放送を始めたのかを既習をもとに予想した上で「絵本の読み聞かせ」である事実を提示することで、宮川さんが絵本の読み聞かせの放送を始めた意図について問題意識をもてるようにする
〈考えをつなぐ場〉
▽絵本の読み聞かせをラジオで放送する宮川さんが「国際交流員」と「多くの町民」の思いをつなぎ、共生のまちへの誇りを、未来にもつなげていこうとする意図を考えられるようにする
▽具体的に考えることができるよう、既習をもとに考えを引き出すことができるように関わる
〈吟味・検証・再考する場〉
▽共生社会への憧れの対象が高校生へと広がるように、絵本の読み聞かせの外国語をニセコ高校生が担当しているという事実を提示する
▼評価
▽宮川さんがラジオニセコで絵本の読み聞かせの放送を始めた意図を「共生」と「未来」という観点から捉えて表現しているかを見取る
(札幌市 2022-12-08付)
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