30年度全国学力・学習状況調査結果―札幌市教委が小数値を公表 国語の漢字などで改善 課題は「知識・技能の活用」(市町村 2018-08-30付)
札幌市教委は二十八日、三十年度全国学力・学習状況調査の実施報告書を公表した。教科に関する調査結果について、七月に発表した整数値のほか、新たに小数値を独自に算出し併記した。また、国語の漢字や算数・数学の割合に関する問題など、これまで課題となっていた個所で「小・中学校ともに改善がみられた」と分析。その一方で、小・中学校の全教科を通じた課題として「身に付けた知識・技能を活用すること」を挙げた。
文部科学省は、「細かい桁における微小な差異が、実質的な違いを示すものではない」との考えのもと、二十九年度から都道府県および指定都市の各教科の平均正答率について、小数点以下を四捨五入した整数値を用いて結果の提供・公表を行っている。
市教委では、公表を始めた二十七年度以降は小数点第一位まで示していたことや、道でも整数値と独自に計算した小数第一位までの数値を併記していることを踏まえ、市全体の平均正答率を整数値のみで示すことは、保護者や市民から結果をあいまいにしているという印象や誤解を招く恐れがあることなどから、各教科の平均正答率を整数値とともに、独自に算出した小数第一位までの数値も併記することとした。
本年度は、四月十七日に国語と算数・数学の「知識」に関するA問題、「活用」に関するB問題のほか、二十七年度以降三年ぶりに理科も含めた教科に関する調査を実施。生活習慣や学習環境などに関する児童生徒質問紙調査、学校質問紙調査も行った。
調査実施校および人数は市内小学校二百三校の六年生一万四千三百八十三人(実施率九五・七%)、中学校九十九校の一万三千八百四人(同九二・七%)となっている。
実施報告書をみると、教科に関する調査で、市が独自に算出した小数第一位までの平均正答率は、小学校が国語A七一・三%、国語B五三・三%、算数A六三・三%、算数B五〇・七%、理科五八・六%。国語Aが全国平均を〇・六ポイント上回った。
中学校は国語A七七・八%、国語B六二・八%、数学A六七・四%、数学B四八・五%、理科六七・八%。二十八年度から三年連続で全教科が全国平均を上回る結果となった。
児童生徒質問紙調査では、本年度新たに設定された設問「家で、学校の授業の予習・復習をしているか」に関して、肯定的な回答をした割合が、小学校では六七・七%、中学校では五五・八%。小学校では五・一ポイント、中学校では〇・六ポイント、全国平均を上回った。
本年度の特徴的な結果では「自分にはよいところがあると思う」という質問に対し、肯定的な回答をした割合は、小学校が八三・一%、中学校が七九・六%。前年度より小学校が七・〇ポイント、中学校が八・九ポイントと、大きく数値が上昇した。
市教委は、国語の漢字、算数・数学の割合に関する問題など、これまで課題だった個所において、正答率が大きく上昇するなど「小・中学校ともに改善がみられた」と分析。
課題について、小・中学校ともに、国語では「自分の考えをまとめること」、算数・数学では「判断の理由や解決の方法を数学的に表現すること」、理科では「観察・実験の結果をもとに考察し、より妥当な考えを見い出すこと」など、身に付けた知識・技能を活用する点を挙げている。
今後は「学ぶ力」育成プログラムの活用を図り、各学校の創意工夫による指導方法等の改善を進めていく。このほか、課題探究的な学習の推進や、学校と家庭が子どもの学習・生活習慣づくりを進める際の指針となるリーフレット『さっぽろっ子“学び”のススメ』を活用し、連携を深めるといった取組をより一層充実させていく。
(市町村 2018-08-30付)
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