文科省 3年度予算概算要求案 新規にデジタル教科書 学習指導員など人的支援継続(国 2020-09-28付)
文部科学省は25日、令和3年度予算の概算要求案をまとめた。予算要求額は前年度比11・4%増の5兆9118億円。新規の学習者用デジタル教科書実証事業には50億円を要求し、1人1台端末環境が整っている小・中学校などにデジタル教科書を提供する。学習指導員は3万2000人、スクール・サポート・スタッフは2万4500人など、新型コロナウイルス対応のための大規模配置を継続。感染症対策では、学校における感染症対策専門家派遣事業などの新規事業を展開する。
文部科学関係予算の概算要求額は、前年度比11・4%増の5兆9118億円。義務教育費国庫負担金の要求額は1兆5208億円で、小学校専科指導の充実のため教員2000人を加配するほか、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備を図る。
新規事業をみると、学びの保障・充実のための学習者用デジタル教科書実証事業に50億4500万円を要求。1人1台端末の環境が整っている小・中学校などを対象に、デジタル教科書(付属教材含む)を提供し普及促進を図る。
対象は小学5・6年生の1教科と中学校全学年の2教科分の経費全額。授業以外の場でも活用できるよう、パブリッククラウドを使用した供給方式を検討している。
デジタル教科書のクラウド配信に関するフィージビリティ(実現可能性)検証に1億1600万円を要求。複数の教科のデジタル教科書を多数の児童生徒が同時利用する実現性を検証し、クラウド配信を進める際のコスト削減や望ましいシステムの在り方を検討する。
全国学力・学習状況調査を従来の紙ベースからコンピューターを使った調査に切り換えるCBT化に向けては6億円を要求。1万人の児童生徒を対象に学力調査の試行を開始する。
5年度以降の休日の部活動の段階的な地域移行に向けて、地域運動部活動推進事業に2億円を要望。全都道府県で2ヵ所(市・町村)、20政令市で1ヵ所の拠点校で、地域人材の確保や費用負担などを実践研究する。
新時代の学びの基盤となる通信環境整備には11億円を要求。6年度からのSINET(学術情報ネットワーク)の初等中等教育への開放に向け、希望する学校が利用できるよう、国立情報科学研究所の情報通信ネットワーク構築や次期SINET接続拠点となる都道府県でルータポートなどを整備する。
CORE(地域社会に根ざした高校の学校間連携・協働ネットワークの構築)ハイスクール・ネットワーク構想には8億円を要求。中山間地域や離島などの小規模高校・中等教育学校30ヵ所において、同時双方向型の遠隔授業や自治体など関係機関と連携・協働する体制の構築を図る。
マイスター・ハイスクール(次世代地域産業人材育成刷新事業)に7億円を要求。第4次産業革命を担う職業人の育成に向け、専門高校と産業界が連携し、カリキュラムの刷新や実践、企業技術者の教員としての採用、企業が指定する「仮称・マイスターハイスクールCEO」を学校の管理職としていく。
感染症対策では、学校における感染症対策専門家派遣事業に13億9400万円を要求し、教職員向けの指導や児童生徒向けの授業、地域の学校関係者向けの講演会などの取組を支援。児童生徒の健康管理・健康づくりの推進に22億200万円を要望し、健康リテラシー向上のための優良な取組の収集・普及や、日本学校保健会が運営する学校等欠席者・感染症情報システムの充実を図る。
継続事業をみると、学習指導員を3万2000人、スクール・サポート・スタッフを2万4500人、中学校における部活動指導員を1万3200人と拡大を図るために必要な予算を要求。
GIGAスクールサポーター配置促進事業には53億円を計上し、引き続き配置を支援する。
オンライン学習システム(CBTシステム)の全国展開、先端技術・教育データの利活用推進に36億円を要求。本年度中に小・中・高校200校規模で開発するプロトタイプのオンライン学習システムを、全国の学校で活用できるよう、システム機能の改善・拡充、学習履歴の分析・フィードバックなどを行う。
公立学校施設の整備には1295億円を要求。ポストコロナの「新しい日常」の実現に向け、複合化施設の一部補助対象化、廃校施設の撤去費補助やバリアフリー化工事への補助の拡充、給食施設の空調設置などを支援する。
(国 2020-09-28付)
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