第５５回道学校図書館研修講座　自主性、自立性担保を　元藤女子大・渡邊氏が講演

（関係団体 2023-01-12付）

学校図書館研修講座

　道学校図書館協会（佐藤正行会長）は５日から３日間、札幌市内のかでる２・７で第５５回北海道学校図書館研修講座を開催した＝写真＝。集合形式による開催は３年ぶりで、全道の会員約８０人が参加。元藤女子大学教授の渡邊重夫氏による講演や１１の選択講座、校種別選択講座・討議を通して、学校図書館を取り巻く現状と課題について理解を深め合った。

　講座は、学校図書館の運営および情報・メディアを活用する学び方の指導、読書指導に関する基本的事項について理解を深めるとともに、学校図書館の目指す方向性と役割についての見識を深め、学校図書館の機能の向上を図ることが目的。

　初日の開講式であいさつに立った佐藤会長は、３年ぶりの集合開催を喜び「研修で得た知識を広く全道各地に発信してほしい」と期待。ことし９月の第４５回学校図書館研究大会苫小牧大会、８年８月に札幌で開催される全国大会に向けて「ぜひ皆さんの力を貸してほしい」と呼びかけた。

　引き続き、元藤女子大教授の渡邊氏が「民主主義社会と学校図書館～“図書館の自由に関する宣言”と関連して」をテーマに講演した。

　渡邊氏は、戦後日本における民主主義の根本に位置付けられる個人の尊重や表現の自由、知る権利を保障する上で「生徒たちが問題解決に役立つ材料を見いだし、自分で解決を考え出す教育」に資する学校図書館が極めて重要な役割を果たしていることを強調。主権者教育を進める上でも「様々な情報をそろえることが、子の学習権の保障につながる」と述べた。

　文部科学省が４年に発出した「拉致問題関連書籍の充実」を求める事務連絡や、漫画本の閲覧制限に関する騒動、ユネスコ学校図書館宣言などを取り上げ、学校図書館の自主性、自立性を担保することの重要性を訴えた。

　このあと、選択講座を開始。ファーストコースとして管理・運営、図書館活動、読書指導、情報活用能力の育成指導の４講座、ステップアップコースとしてＳＤＧｓのブックトーク、調べる力を付ける学校図書館のレファレンス、学校図書館と１人１台端末など７講座を展開。最終日は校種別の講座・討議を行った。

(関係団体 2023-01-12付)