文部科学省の28年度概算要求主要事項④
( 2015-10-13付)

 文部科学省の二十八年度概算要求主要事項はつぎのとおり(金額は要求・要望額、単位・百万円。カッコ内%は前年度予算比)。

学力と人間力を備えた人材を育成するための教育再生の実現

【学びのセーフティネットの構築】

◆学校施設等の老朽化対策等の推進=三二四、七四四(二・八倍)

▼公立学校施設の老朽化対策を中心とした教育環境の改善等の推進=二〇八、八九九

 学校施設は児童生徒の学習・生活の場であり、より良い教育活動を行うためには、その安全性・機能性の確保は不可欠である。

 しかしながら、学校施設は、建築後二十五年以上経過し、改修が必要な建物の面積が全体の約七割を占めるなど老朽化は深刻な課題となっている。

 このため、安全を確保し、質の高い教育活動を支えられるよう老朽化への対応を図るなど、教育環境の改善を推進するとともに、耐震化および防災機能強化に取り組む。

▽老朽化対策を含む教育環境の改善

 教育環境を改善するため、長寿命化による対応を含む老朽化対策、空調設置、トイレ改修、給食施設整備などを推進。

▽耐震化および防災機能強化の推進

 学校施設の耐震化(非構造部材の耐震対策を含む)を支援。また、災害時に地域住民の避難所としての役割を果たす学校施設の防災機能強化への取組を支援。

▽小中学校等の教室不足への対応等

 小・中学校、特別支援学校の教室不足に対応するための新築・増築、学校の統合にかかる新築・改修事業などにかかる施設整備。

▼国立大学等施設の整備=六三、五四一(一三〇・五%)

 次期国立大学法人等施設整備五ヵ年計画策定に向けた検討の状況を踏まえ、著しく進行する国立大学等施設の老朽化に対し、安全・安心な教育研究環境の基盤の長寿命化や耐震化を図りつつ、国立大学法人などの機能強化等へ対応するため、最先端研究施設の整備や付属病院の再開発整備など、計画的・重点的な施設整備を推進する。

▽安全・安心な教育研究環境の基盤の整備

①施設の耐震化(非構造部材の耐震対策含む)や老朽施設の改善を推進

②機能劣化の著しい基幹設備(ライフライン)の計画的な更新などを推進

▽国立大学などの機能強化等変化への対応

①高度化・多様化する教育研究活動に対応する最先端研究施設の整備

②地域医療・先端医療等の拠点となる付属病院の再開発整備

②地域医療・先端医療等の拠点となる付属病院の再開発整備

【絆づくりと活力あるコミュニティーの形成】

◆学びを通じた地域づくりと学校・家庭・地域の連携協働=九、五四〇(一三七・二%)

 学校を核とした地域力強化の仕組みづくりを推進するとともに、地域の活性化につながる多様な取組を展開することによって、まち全体で地域の将来を担う子どもたちの育成および地方創生の実現を図る。

▽地域とともにある学校づくりの推進=一五一

 地域コミュニティーの衰退や子どもの問題行動など、学校・地域の差し迫った社会的・地域的な課題に対し、首長部局や関係機関等との協働体制を確立し、課題解決に向けて取り組む新たな学校モデルの構築・発信や、自律的・組織的な学校運営体制の構築に向けた実践研究などの実施、学校現場における業務改善の取組を積極的に支援し、教員と専門スタッフによるチーム体制の構築、学校マネジメント機能の強化、教員が力を発揮できる環境を整備し、子どもと向き合う時間の確保や授業の充実を図る。

▽博物館ネットワークによる未来へのレガシー継承・発信事業(新規)=六二

 全国の博物館の振興のため、自然科学分野の国立博物館などがもつ豊富な資料やノウハウを生かし、複数の地方の博物館と連携協力しながら、全国の博物館の取組の充実に資する国内外の好事例収集、調査研究などを実施するとともに、それらの館が調査研究の成果を活用した連携企画展示などを行い、これら一連の取組によって生まれた効果の全国への普及を図る。

▽生涯学習施策に関する調査研究=四四

 生涯学習の成果を適切に活用し、より高度な学習や幅広い活動などにつなげる仕組みとして生涯学習支援基盤(生涯学習プラットフォーム)に関する実証など、地域課題の解決や多様な学習機会の充実に資する調査研究等を実施し、生涯学習の振興方策の充実を図る。

※参考・復興特別会計

▽仮設住宅の再編等にかかる子どもの学習支援によるコミュニティー復興支援事業=七九五

 学習環境が好転していない地域において、長期にわたる仮設住宅生活で学習支援が十分に行き届いていない被災した児童・生徒を中心に、地域人材による学習支援を実施することによって、仮設住宅内、また、仮設住宅とその学校や周辺地域とを結ぶコミュニティーの復興促進を図る。

 学習環境が好転していない地域において、長期にわたる仮設住宅生活で学習支援が十分に行き届いていない被災した児童・生徒を中心に、地域人材による学習支援を実施することによって、仮設住宅内、また、仮設住宅とその学校や周辺地域とを結ぶコミュニティーの復興促進を図る。

スポーツ立国の実現

◆スポーツ立国の実現を目指したスポーツの振興=三六、六七二(一二六・六%)

 すべての人々がスポーツに親しみ、スポーツを楽しみ、スポーツを支え、そしてスポーツを育てる活動に参画する機会を確保するとともに、国民に誇りと喜び、夢と感動を与えてくれるトップアスリートの育成・強化、国際競技大会などの招致・開催等を通じた国際交流・貢献を推進し、わが国の「新たなスポーツ文化」を確立することを目指す。

▼二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会等に向けた準備=一六、八八二)

▽競技力向上事業=一〇、三〇〇

 オリンピック・パラリンピック競技大会などにおける日本代表選手のメダル獲得に向けて、各競技団体が行う日常的・継続的な選手強化活動を支援するとともに、二〇二〇年東京大会で活躍が期待される次世代アスリートの発掘・育成などの戦略的な選手強化を行う。

▽ハイパフォーマンスサポート事業=四、〇〇〇

 オリンピック競技・パラリンピック競技を対象に、メダル獲得が期待される競技をターゲットとして、アスリート支援や研究開発について、多方面から専門的かつ高度な支援を戦略的・包括的に実施する。

 また、二〇一六年リオデジャネイロオリンピック・パラリンピック競技大会において、競技直前の準備のためにアスリート、コーチ、サポートスタッフが必要とする機能(リカバリーやコンディショニング機能に重点化)を選択できる拠点(ハイパフォーマンスサポート・センター)を設置する。

▽スポーツ・フォー・トゥモロー等推進プログラム=一、二七一

 二〇二〇年東京大会の開催国として、スポーツを通じた国際協力および交流、国際スポーツ人材育成拠点の構築、国際的なアンチ・ドーピング推進体制の強化支援を柱とする「スポーツ・フォー・トゥモロー」プログラムに取り組むとともに、オリンピック・パラリンピック・ムーブメントを日本全国へ波及させるための取組を実施する。

▼スポーツ庁設置によるスポーツ施策の総合的な推進=一九、七九〇

▽スポーツ参画促進プロジェクト=九二七

 多様化するライフスタイルやニーズに対応した新たな地域スポーツ環境(プラットフォーム)の創出およびスポーツツーリズムなどの取組を支援することなどを通じて、健康寿命の延伸、地域コミュニティーの再生、地域経済の活性化などを図るとともに、スポーツに対する無関心層を含む国民のスポーツへの参画(する、観る、支える)を促進することによって、地域におけるスポーツの振興を推進する。

▽スポーツ環境の整備=一、〇〇〇

 子どものスポーツ機会の充実、ライフステージに応じたスポーツ活動の場を確保するため、スポーツ施設の整備を推進し、スポーツ環境の整備促進を図る。

▽武道等の円滑な実施の支援=四、七五二

 武道等の安全かつ円滑な実施のため、武道等の領域での授業の充実、若手教員をはじめとした指導者の資質向上や指導力強化を推進し、指導体制の整備を図るとともに、公立中学校武道場の整備促進を図る。

※国立競技場の改築にかかる経費については、新国立競技場整備計画再検討のための関係閣僚会議における整備計画の再検討結果を踏まえ、予算編成過程において適切に検討する。

※国立競技場の改築にかかる経費については、新国立競技場整備計画再検討のための関係閣僚会議における整備計画の再検討結果を踏まえ、予算編成過程において適切に検討する。

世界に誇るべき「文化芸術立国」の実現

◆豊かな文化芸術の創造と人材育成=二三、七五四(一一九・二%)

 豊かな芸術創造活動を生み出す環境を創出し、わが国の芸術水準と国際的評価を高めるため、芸術団体や劇場・音楽堂などへの効果的な支援を行うとともに、地域の魅力と活力を高める特色ある文化芸術振興の取組を支援する。

 二十八年度は、文化芸術立国の実現に向けた文化プログラムを推進するため、その実施体制の整備やリーディングプロジェクトへの重点的な支援などを行う。

▼文化芸術立国実現に向けた文化プログラムの推進=一七、七四三

▽リーディングプロジェクトの推進(新規)=一、三〇八

 文化プログラムを推進するための実施体制、情報発信体制を整備するとともに、日本の顔となるクリエイティブな文化芸術活動等(リーディングプロジェクト)の取組を推進する。

▽国が地方自治体、民間とタイアップした取組の推進=一四、八五九

①戦略的芸術文化創造推進事業=四三一

 芸術文化の振興を図る上で推進することが必要な芸術活動、障害者の優れた芸術作品の試行的展覧会、公演情報等の海外発信の環境整備などに関する調査研究などを実施する。

②舞台芸術創造活動活性化事業=四、一三三

 分野の特性に応じた舞台芸術創造活動に対する新たな助成システムの導入や、文化プログラムの推進などに対応した芸術団体の機能強化への支援を行い、わが国芸術団体の水準向上とより多くの国民に対する優れた舞台芸術鑑賞機会の提供を図る。

③文化芸術による地域活性化・国際発信推進事業=三、二九六

 地方公共団体が企画する地域の文化資源などを活用した文化芸術活動や、地域の文化芸術施策を推進する体制整備などへの支援を行い、文化芸術による地域活性化、地域文化の国際発信、訪日外国人の増加を促進する。

④劇場・音楽堂等活性化事業=三、三五〇

 地域の劇場・音楽堂などの活性化と実演芸術の水準向上を図るため、公演事業や専門的人材の養成、普及啓発活動、外国人を受け入れる環境整備などの支援を行う。

▽文化プログラム推進のための基盤整備=二、四七八

 文化プログラムに多くの訪日外国人が参加し、その開催効果が広く波及するよう、国内の文化施設において多言語化対応の情報発信、環境整備などを進める。

▼文化芸術創造活動への効果的な支援=六、八五七

▽戦略的芸術文化創造推進事業=四三一

▽舞台芸術創造活動活性化事業=四、一三三

▼芸術家等の人材育成=八、九四二

▽新進芸術家グローバル人材育成事業=一、四八〇

 若手芸術家などに公演や展覧会など実践的な研修機会を提供することなどによって、文化芸術を支えるグローバル人材を育成し、わが国の文化芸術の海外への発信力の強化を図る。

▽文化芸術による「創造力・想像力」豊かな子どもの育成=六、七一八

 文化芸術によって、創造性、発想力、コミュニケーション力に富んだ子どもたちを育成するため、文化芸術を体験する機会の充実を図る。

◆かけがえのない文化財の保存、活用および継承等=四九、五五八(一一一・四%)

 文化財を次世代へ確実に継承するために、適切な修理・整備や防災・防犯対策などへの支援を行うとともに、日本遺産などの地域の文化財の魅力を国内外に発信する取組や、観光振興政策と連携して地域活性化の取組を推進する。

▽文化財総合活用戦略プランの強化=一一、五五八

 日本遺産の認定を促進するとともに、地域の文化財群の一体的な公開活用を推進するための情報発信、設備整備などの取組を行う自治体などへ支援するほか、地域の文化財群の魅力を海外へ効果的に発信するための事業に対する重点的な支援を実施する。

▽文化財の適切な修理等による継承・活用等=三三、六四六

 国宝・重要文化財や史跡などを積極的に活用しながら次世代へ確実に継承するため、適切な修理・整備や、防災・防犯対策などに対する支援を行う。

▽文化財の公開活用、伝承者養成、鑑賞機会の充実等=四、三五五

 広く国民に対して文化財を公開し、鑑賞するための機会を提供するとともに、無形文化財などの伝承者養成、わざの錬磨などに対する支援を行う。

※参考・復興特別会計

▽被災文化財の復旧等=一、四六二

 被災した国指定等文化財について早急に保存・修復などの措置を講ずる。

◆わが国の多彩な文化芸術の発信と国際文化交流の推進=二、六〇八(一〇八・四%)

 わが国の多彩な文化芸術を戦略的に国内外へ発信するとともに、文化芸術各分野における国際文化交流を推進することによって、国内の文化芸術水準の向上を図ると同時に、クールジャパンの発信強化を図る。

▼日本文化の発信・交流の推進=一、八四六

▽アーティスト・イン・レジデンス活動を通じた国際文化交流促進事業=一四一

 国内のアーティスト・イン・レジデンス団体が、海外との双方向に行う交流活動や連携強化のための国内外ネットワークを形成する取組を支援する。

▽芸術文化の世界への発信と新たな展開=九六二

 舞台芸術や現代アートなどわが国の優れた芸術文化を積極的に発信し、各分野における国際文化交流を推進することによって、わが国の芸術水準や国際競争力を高める。

▼外国人に対する日本語教育の推進=二一一

▽「生活者としての外国人」のための日本語教育事業=一五一

 わが国に在留する外国人が日本語を用いて円滑に生活を送ることができるよう、「生活者としての外国人」を対象とした、地域における日本語教育を推進する等。

◆文化発信を支える基盤の整備・充実=三九、八三三(一一八・六%)

 わが国の顔となる国立文化施設(美術館、博物館、劇場)の整備・充実を通じて、文化発信の国内基盤を強化するとともに、国民の鑑賞機会の充実を図る。

▽国立文化施設の機能強化=二七、二一六

 多言語化対応など、国立文化施設(美術館、博物館、劇場)の機能強化を図る。

▽国立文化施設の整備=一一、九〇七

 来館者の快適な観覧環境や安全安心を確保するため、基幹施設(展示設備、舞台設備等)改修などを行う。

▽文化発信を支える基盤の整備・充実=七一一

 歴史的・文化的価値のある文化関係資料のアーカイブ構築に関する調査研究などを行う。

◆スポーツ・文化・ワールド・フォーラムの開催=八三八(皆増)

 ラグビーワールドカップ二〇一九、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会、関西ワールドマスターズゲームズ二〇二一に向けて、観光とも連動させつつ、スポーツや文化による国際貢献や有形・無形のレガシーなどについて議論、情報発信し、国際的な機運を高めるためのキックオフイベントとしての国際会議を、二〇一六年リオ大会直後の秋に、京都と東京で開催。

 ラグビーワールドカップ二〇一九、二〇二〇年東京オリンピック・パラリンピック競技大会、関西ワールドマスターズゲームズ二〇二一に向けて、観光とも連動させつつ、スポーツや文化による国際貢献や有形・無形のレガシーなどについて議論、情報発信し、国際的な機運を高めるためのキックオフイベントとしての国際会議を、二〇一六年リオ大会直後の秋に、京都と東京で開催。

成長戦略の実現に向けての科学技術イノベーションの推進

◆科学技術イノベーション・システムの構築=三九、七三一(一一二・〇%)

 大学・研究開発法人・産業界等が集い、既存分野・組織の壁を取り払い、企業だけでは実現できない飛躍的なイノベーションを産学官連携で実現する。

 また、大学の研究シーズをもとに、地域外の人材・技術を取り込みながら、地域から世界で戦える新産業を創出する。さらに、民間の事業化ノウハウを活用した大学等発ベンチャー創出の取組等を推進する。

▽オープンイノベーション加速のための産学共創プラットフォーム形成(新規)=二、九八一

 世界トップレベルの研究能力を有する大学が、企業からの資金・人材を呼びこみ、基礎研究から人材育成を含めて大型の産学共同研究のマネジメントなどを行う組織・体制(プラットフォーム)を構築することで、わが国におけるオープンイノベーション創出に向けた取組を加速する。

▽地方創生に資するイノベーション・エコシステムの形成=五、三七九

 地域の大学が、産官金などと協力しつつ、全国規模の事業化経験をもつ人材を活用して新産業創出に主体的に取り組む活動の支援や、地域企業と全国の研究成果をつなぐマッチングプランナーの活用および地域特性を踏まえた将来ビジョンに基づき、世界的にも優れた研究施設などを核に大学、企業等が集積したイノベーション創出の場の構築によって、地方創生に資するイノベーション・エコシステムの形成を推進する。

①地域イノベーション・エコシステム形成プログラム(新規)=二、二六〇

②マッチングプランナープログラム=一、三六三

③世界に誇る地域発研究開発・実証拠点(リサーチコンプレックス)推進プログラム=一、七五六

▽革新的成果の社会実装を目指す大型産学共同研究の推進=九、四四七

 目指すべき社会像を見据えたバックキャストによるビジョン主導型のチャレンジングな研究開発を大型産学研究開発拠点において推進する。

①センター・オブ・イノベーション(COI)プログラム=八、三五一

②大学等シーズ・ニーズ創出強化支援事業=一、〇九六

▽強い大学発ベンチャー創出の加速=六、一六九

 強い大学発ベンチャーの創出を加速させるため、知財の集約・強化、創業前段階からの経営人材との連携や、起業に挑戦し、イノベーションを起こす人材の育成を一体的に推進していく。

①大学発新産業創出プログラム(START)=二、五五五

②グローバルアントレプレナー育成促進事業(EDGEプログラム)=一、〇九一

③知財活用支援事業=二、五二三

▽国立研究開発法人を中核としたイノベーションハブの形成=一、九五〇

 国立研究開発法人を中核として、産学官の垣根を越えた人材糾合の場(イノベーションハブ)の形成およびその機能強化を図るため、国立研究開発法人の飛躍性ある優れた取組を選択的に支援・推進する(四拠点程度)。

◆基礎研究力強化と世界最高水準の研究拠点の形成=三三二、三九二(一〇九・八%)

 新たな知のフロンティアを拓く礎であるとともに、イノベーション創出の基盤でもある、独創的な学術研究と出口を見据えた基礎研究を、競争的研究費改革を踏まえつつ、強力かつ継続的に推進する。加えて、同改革と連携し、研究開発と共用の好循環を実現する新たな共用システムの導入を加速する。

 また、大学の研究力強化のための取組を戦略的に支援し、世界水準の優れた研究大学群を増強する。

 さらに、国内外の優れた研究者をひきつける世界トップレベル研究拠点の構築を進める。

▽科学研究費助成事業(科研費)=二四一、九六六

 人文学・社会科学から自然科学まですべての分野にわたって、基礎から応用までの独創的な「学術研究」を幅広く支援する。特に、新たな学問領域の創成や異分野融合などにつながる挑戦的な研究や、新たに次代を担う研究者が独立する基盤づくりへの支援を行うなど、科研費の改革・強化に取り組む。

▽戦略的創造研究推進事業(新技術シーズ創出)=五一、三七三

 トップダウンで定めた戦略目標・研究領域において、組織・分野の枠を越えた時限的な研究体制を構築して、イノベーション指向の戦略的な基礎研究を推進。若手研究者の登竜門となっている「さきがけ」を拡充するなど、戦略的な基礎研究の改革・強化に取り組む。

▽先端研究基盤共用促進事業(新規)=二、〇六四

 競争的研究費改革と連携し、研究組織のマネジメントと一体となった研究設備・機器の整備運営の早期確立によって、研究開発と共用の好循環を実現する新たな共用システムの導入を加速するとともに、産学官が共用可能な研究施設・設備等における施設間のネットワークを構築する共用プラットフォームを形成することによって、世界最高水準の研究開発基盤の維持・高度化を図る。

▽研究大学強化促進事業=六、二〇〇

 世界水準の優れた研究大学群を増強するため、世界トップレベルとなることが期待できる大学などに対し、研究マネジメント人材の確保・活用と大学改革・集中的な研究環境改革の一体的な推進を支援・促進し、わが国全体の研究力強化を図る。

▽世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)=九、七四一

 大学などへの集中的な支援によって、システム改革の導入等の自主的な取組を促し、優れた研究環境と高い研究水準を誇る世界に「目に見える拠点」を構築する。

◆科学技術イノベーション人材の育成・確保=三二、三三四(一一六・一%)

 科学技術イノベーションを担う多様な人材の育成や活躍促進を図るための取組を重点的に推進する。特に、わが国をけん引する優れた若手研究者が産学官の研究機関を舞台に活躍する新たなキャリアパスを拓くための制度を創設するとともに、科学技術イノベーションを担う女性の活躍促進や次代を担う人材の育成などの取組を行う。

▽卓越研究員制度の創設(新規)=一、五四〇

 優れた若手研究者が産学官の研究機関から最適な場所を選んで安定かつ独立した研究環境のもとで挑戦的な研究を推進するとともに、このような新たなキャリアパスを拓くための制度を創設する。

▽科学技術イノベーションを担う女性の活躍促進=二、四三三

 研究と出産・育児・介護などとの両立や女性研究者の研究力の向上等を通じたリーダーの育成などの研究環境のダイバーシティ実現に向けた取組や、女子中高生の理系分野への興味・関心を高め、適切な進路選択を可能にするための取組などの支援を実施する。

①ダイバーシティ研究環境実現イニシアティブ=一、三八四

②特別研究員(RPD)事業=一、〇一九

 出産・育児による研究中断後の復帰支援(Restart Postdoctoral Fellowship)

③女子中高生の理系進路選択支援=三〇

▽スーパーサイエンスハイスクール(SSH)支援事業=二、三七八

 先進的な理数系教育を実施する高校などを「スーパーサイエンスハイスクール(SSH)」に指定し、課題の発見と解決に向けた主体的・協働的な学習(アクティブ・ラーニング)や、高大連携の取組などを先導するとともに、生徒の科学的能力や科学的思考力等を培い、将来の科学技術系人材の育成を支援する。

▽研究公正推進事業=一二七

 『研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン』の見直し等を踏まえ、資金配分機関(日本学術振興会、科学技術振興機構、日本医療研究開発機構)の連携によって、研究倫理教育に関する標準的なプログラムや教材を作成するとともに、研究倫理教育担当者養成のための講座開発を行い、競争的資金などによって行われる研究活動に参画するすべての研究者に対して研究倫理教育を実施するための支援を行う。

◆科学技術イノベーションの戦略的国際展開=一九、二七二(一二七・四%)

 国際的な人材・研究ネットワークの強化、先端科学技術分野での戦略的な国際協力の推進、地球規模課題の解決への貢献などに取り組み、日本外交の新機軸としての科学技術外交を戦略的に推進する。

◆社会とともに創り進める科学技術イノベーション政策の展開=七、六四六(一〇一・五%)

 「社会および公共のための政策」の実現に向け、科学技術コミュニケーション活など、国民の理解と信頼と支持を得るための取組を展開する。

 また、研究開発システムの改革を推進することで、科学技術イノベーション政策の実効性を大幅に高める。

◆ライフサイエンスによるイノベーション創出=九五、五〇一(一一七・八%)

 健康・医療戦略(二十六年七月二十二日閣議決定)等に基づき、iPS細胞研究などによる世界最先端の医療の実現や、疾患の克服に向けた取組を強力に推進するとともに、臨床研究・治験への取組等を強化することによって、ライフサイエンスによるイノベーションを創出する。

 特に、日本医療研究開発機構(AMED)における基礎から実用化までの一貫した研究開発を関係府省と連携し強力に推進する。

◆クリーンで経済的なエネルギーシステムの実現=四六、九二九(一二三・八%)

 東日本大震災によって露呈したエネルギー問題や、国際社会が直面する地球環境問題を克服し、クリーンで経済的なエネルギーシステムの実現のための研究開発を推進する。

◆自然災害に対する強靱な社会に向けた研究開発の推進=一五、四六〇(一四四・三%)

 火山災害の軽減に貢献するための先端的な火山研究の推進およびそれを担う人材の育成・確保を推進するとともに、地震・津波による被害軽減のための調査観測、地震・津波発生メカニズムの解明などの調査研究、防災科学技術の研究開発などを実施することで、自然災害に対する強靱な社会に向けた研究開発の推進を図る。

( 2015-10-13付)