28年度予算編成等で建議―財政制度等審議会 論拠に基づいた施策を 教職員定数の在り方提起
( 2015-11-26付)

 財務省の財政制度等審議会(吉川洋会長)は二十四日、二十八年度予算の編成等に関する建議を公表した。教育分野については、教職員定数の在り方に言及。「現在の教育環境を維持した場合の十年間の基礎・加配定数」をベースラインと設定した上で、「エビデンスに基づく予算編成を含むPDCAサイクルを徹底し、教育の質向上へ効率的・効果的な施策を実現するべき」との考えを盛り込んだ。

 建議では、いじめ問題や校内暴力等の増加、教員の多忙化などの問題に対し、「少子化の進展を踏まえた予算の効率化、エビデンスに基づく適正な教職員数の検討に加え、外部人材の活用など、どのような政策が費用対効果の面で望ましいか、厳しく検証する必要がある」と指摘している。

 三十六年度までに子どもの数が九十四万人、クラス数が二・一万クラス減少する見込みを示した上で、教職員定数は現在の「基礎定数は十クラス当たり十六・三人、加配定数は同一・六人、合計約十八人」を維持する場合、約三万七千人減少と試算。これは、「あくまでも〝現在の教育環境を維持する場合の試算〟であり、〝機械的削減による教育条件の悪化〟などの批判は当たらない」としている。

 また、「これまでの教職員配置の効果検証や、教育効果との因果関係、費用対効果などに関する実証研究等を通じ、エビデンスに基づく予算編成を含むPDCAサイクルを徹底する必要がある」と指摘している。

 今後の教職員定数の検討に当たっては、いじめや不登校等の解決、学力の向上、教員の多忙化解消といった課題に対し、「〝授業の専門家〟である教員数を増やすことが、本当に効率的・効果的な解決策なのかについては、疑問を禁じ得ない」とし、外部人材等の活用を促した。

 これらの検証に基づき、今後の教職員定数の在り方について、「現在の教育環境を維持した場合の十年間の基礎・加配定数」を「少子化を反映した教職員定数のベースライン」として設定することを提起。それ以上の配置が必要な場合には、「いじめ・不登校問題への対応、学力向上やアクティブ・ラーニングなどの効果について、確かなエビデンスに基づく議論を予算編成プロセスの中で行い、事後的な検証も通じ、PDCAサイクルを徹底する」とした。

 その上で、「学校を取り巻く多様な問題に対しては、引き続き〝チーム学校〟や〝学校を核とした地域づくり〟などの取組を強力に進め、多様な専門家や地域住民が参画する〝学びの場〟を構築するとともに、教員が授業に専念できる環境を整え、単なる〝数〟ではなく、教育の〝質〟の向上に向けて効率的で効果的な施策を実現していくべき」と提起した。

( 2015-11-26付)