札幌視覚支援のオンライン授業 6教室で複数家庭接続 時間割配信 取組徐々に浸透
(コロナウイルス関連 2020-04-30付)

札幌視覚支援学校・オンライン授業
生物の授業では3年生2人に教材を示し配信した

 新型コロナウイルス感染症の影響で臨時休業が続く中、札幌視覚支援学校(木村浩紀校長)ではオンライン授業の取組が浸透しつつある。クラウド型ビデオ会議サービスと、ほっかいどう応援団会議参加企業の支援を受けて借り受けた機器を活用し、主に高等部生徒の複数家庭と接続して学習を支援。最大6教室で同時展開できるよう環境整備し、時間割を組んで配信するなど、学校全体で生徒の学習機会確保に向けた取組を進めている。

 同校は3月の臨時休業時にもクラウド型ビデオ会議サービスを活用し、高等部の一部の生徒に対してホームルームなどでオンライン支援を試行してきた。

 今回の臨時休業では、ほっかいどう応援団会議参加企業の支援を受けて借り受けたモバイルルーター1台とタブレット端末2台を活用し、複数の教室でオンライン授業ができるよう環境整備。15日から少しずつ試行し、20日には時間割を組んで本格的に授業を展開した。

 現在、最大6教室で授業を展開。各教室に大型モニターやタブレット端末などの配信環境を常に整備しているため、教室が空いていれば急な進路相談などの個人面談でも手軽にオンラインで対応できる。

 また、多くの教員に慣れてもらえるよう、教員向けにオンライン授業のマニュアルを作成。「ゆっくり話す」「生徒が発言してよいタイミングが分かりやすいようルールを決めておく」「生徒からの質問は教師が復唱して全体で共有する」など、コツを共有して授業の質を保てるようにするなど、学校全体でサポートしている。

 ホームルームでの学級交流や、国語、社会、数学、理科、保健・体育、英語、点字指導などの自立活動といった多岐にわたる授業を実施。このほか、放課後に行っていた進学講習などにも対応している。

 授業スタイルは板書やデジタル教材の画面共有を使った配信など、教師によって様々。生徒は手元の端末に顔を近付けたり、任意に画面を拡大したりすることができるため、視覚に障がいのある生徒でも積極的に取り組むことができるという。

 対象は主に家庭にWi―Fi環境が整い、保護者の承諾が取れている高等部普通科の生徒。希望のある高等部専攻科、中学部の生徒なども合わせて約30人が家庭から個人端末で接続しており、学習支援の輪が広がってきている。

 27日の高等部普通科の授業では、生徒2人を対象とした生物、1人を対象とした進学講習の英語を展開。モニター上には、デジタル教材が画面共有で大きく、教師と参加生徒の顔が小さく同時に映し出されており、教師と生徒が慣れた様子で応答しながら授業を進めていた。

 専攻科では、生徒6人が参加してマッサージ実技や解剖学のオンライン授業を実施。教師が実際に体の部位を示しながら、専門的な名称やマッサージ方法などの講義を行った。

 同校によれば、オンライン授業の展開によって、生徒の学習機会の確保のみならず、乱れた生活リズムの調整にもつながっているという。教師や他生徒と顔を合わせてやり取りすることで、コミュニケーションをとりながら友達と共に学ぶ機会を確保できるといった効果も実感している。

(コロナウイルス関連 2020-04-30付)

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